royale with cheese

時代に置いてかれたお土産ディガー

District 9

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僕は頭が良いマッチョのイケメン、a.k.a オジマンディアスが頑張る映画も好きですが、自分もどっちかって言うとクズなのでやはりダメなやつがなけなしの勇気を振り絞る映画にぐっときます。

 

その点『第9地区』の主人公ヴィカスは素晴らしい。

軍事兵器会社に勤め、エビ型エイリアンの立ち退き責任者に抜擢という栄転なのかよくわからない仕事をしているヴィカス。

ぱっと見冴えない中間管理職的な風貌ではあるが仕事をやらないダメ人間って訳でも無い。やり甲斐のあるこの会社に誇りを持ってます的な事も言うし、割と気さくな雰囲気で周りからの評判も上々。英雄にも小悪党にも見えないこの「普通」な感じが後効きしてくるわけです。

立ち退きが始まるとあいつら人じゃねえから別にいいっしょなテンションでなかなかの自己中っぷりを振り回してるが、ひょんな事から急展開。

弱者の立場に変わり、最後の最後にロケットランチャーを掴むヴィカス。さりげない観客目線の逆転も、事後から始まる映画全体の構成の見事さもあるが、映画全体のテーマに相まってスラム描写の中で強烈だったのはエイリアン隔離地区を仕切っているナイジェリアギャング。エイリアンの好物であるキャットフード闇市、エイリアン相手の売春(!)等、途切れに映る見た目以上の存在感が半端ないんです。あんなパワープレー無いでしょう。

 

演じたシャールト・コプリーはその後ハリウッド級大作映画にフックアップもされ、ニール・ブロムカンプの次作『エリジウム』では豪傑感の無い中ボスみたいな役もやってましたが、自分はヴィカスが好きです。